日本三大和牛と言えば、松阪牛・神戸牛の2つと米沢牛・近江牛のいずれかが入ります。
つまり「2強」に絞るなら、それは松阪牛と神戸牛であることに異論はないでしょう。
では、松阪牛と神戸牛はどっちが高いのか?と言えば松阪牛の方が若干高いです。
しかし、松阪牛の方が美味しいのか?と言えば必ずしもそうとは言い切れません。
この記事では松阪牛と神戸牛についての定義から、味の特徴の違いまで詳しく解説いたします。
この記事を読むと、以下のことについて理解できます。
- 生きている神戸牛は存在せず、生きている間は但馬牛であること。
- 松阪牛と神戸牛の定義や基準の違い。
- 一般的に松坂牛の方が価格が若干高いこと。
- 松阪牛は日本で、神戸牛は世界での知名度が高いこと。
松阪牛 神戸牛 どっちが高い?:松阪牛について
まずは一般的に神戸牛より高い松阪牛について、詳しく説明いたします。
松阪牛の歴史
松阪牛が肉牛として本格的に肥育されたのは、第二次世界大戦後です。
西洋文化が入って肉を食べるようになった明治時代、松坂周辺で育った牛の肉が美味しいと噂になりました。
最初は農業に使った後、1年ほど休ませて太らせてから食用にしていたそうです。
今では毎年11月最後の日曜日に松阪牛の品評会があり、そこで優秀賞に選ばれた牛は、セリで高額落札されていきます。
その品評会の第一回が開催されたのが1949年です。
以来、戦後の復興とともに松阪牛の地位と名声は上がってゆくことになるのです。
松阪牛の読み方
松阪牛は「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」と読むのが正解で、「まつざかぎゅう」「まつざかうし」のように、「ざ」と濁るのは間違いです。
その産地となる松阪市も江戸時代から「まつざかし」と「まつさかし」という2通りの呼び名がありましたが、2005年に「まつさかし」に統一されました。
なお、「阪」の漢字を間違えて「坂」と表記するのもよくある間違いです。
松阪牛の定義
多くの人が勘違いしているポイントですが、松阪牛という品種はありません。
松阪牛の品種は黒毛和牛であり、その他にも以下のような条件をクリアしたものが松阪牛として定義されます。
・黒毛和牛の雌かつ未経産であること
・松阪牛生産地域で肥育されている期間が、他の地域での肥育期間より最も長い
・最終肥育地が松阪牛生産地域である
・個体識別管理システムに登録されている
つまり、松阪牛にオスは存在しません。
メスの方が肉質が柔らかく、メスの中でも未経産の個体の方が肉質が柔らかいため、このような定義があります。
また、「特産松阪牛」という、さらに定義の厳しい松阪牛も存在します。
これは上記の条件に加え、「兵庫県産の子牛を松阪牛生産地域にて900日以上肥育した場合」にのみつけられる称号です。
松阪牛の特徴
松阪牛が美味しいのはもちろんですが、他の牛肉に比べて以下のような特徴があります。
・一般的な和牛よりも不飽和脂肪酸を豊富に含み、脂肪の溶け出す融点が低く、滑らかな口当たり
・深みのある甘く上品な香りと、柔らかくとろけるような質感
・サシが細かくバランスが良い
松阪牛 神戸牛 どっちが高い?:神戸牛について
神戸牛という生きた牛は存在しません。
生きているうちは但馬牛です。
神戸牛は但馬牛のうち、一定の基準を満たす「牛肉」のことを指すためです。
また、神戸牛という言い方も、松阪牛や近江牛など他の銘柄牛と同じ言い方にするためにつけられたものであり、本来ならば「神戸肉」や「神戸ビーフ」が正式な名称です。
神戸牛の歴史
1868年、神戸港が日本で初めての貿易港として開港されたのをきっかけに西洋文化が浸透し、「神戸ビーフ」が世界に広まることとなりました。
もともと、神戸牛の産地となる但馬地方では、牛は農作物を育てるための使役用として飼われていました。
使役用とはいえ、但馬地方では牛を大切に飼育するという長い歴史がありました。
工夫した餌、愛情込めて育てた飼育、気候や水など但馬地方は美味しい牛肉を育てる条件が揃っていたのです。
神戸牛の読み方
松坂牛が「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」と読むのに対し、神戸牛は「こうべぎゅう」1択です。
通常、牛は生きている間は「うし」で、食肉になると「ぎゅう」となるのが一般的です。
生きている神戸牛は存在しないため、読み方も「こうべぎゅう」しかないというわけです。
神戸牛の定義
前述したとおり、生きた神戸牛は存在せず、生きている内は但馬牛です。
但馬牛はその定義により、枝肉になるまで兵庫県を出ません。
この点で最終的に松坂で肥育されていれば松阪牛と言うことのできる松阪牛とは大きく異なります。
但馬牛のうち、以下のような条件をクリアしたものが神戸牛と定義されます。
・雌の未経産牛または去勢牛である
・歩留等級(1頭の牛から食肉にできる割合)がAかBである(基準はA〜C)
・肉質等級が4か5である(基準は1〜5)
・BMS値(霜降りランク)No.6以上(基準はNo.1〜12)
・雌は230kg以上から470kg以下、去勢は、260kg以上から470kg以下である
肉質まで問わない松阪牛の定義と比べると、神戸牛の定義は肉質に関するものが多く、基準が厳しいと言えます。(特産松阪牛を除く)
神戸牛の特徴
神戸牛が美味しいのはもちろんですが、他の牛肉に比べて以下のような特徴があります。
・旨み成分であるイノシン酸が多く含まれている
・きめ細かく、上品な甘みのある赤身
・サシが筋肉の中に細かく入った霜降り具合
松阪牛 神戸牛 どっちが高い?それぞれの定義と特徴とは?:まとめ
松阪牛と神戸牛は、部位にもよりますが、一般的には松坂牛の方が若干高めです。
一方で味はどちらも美味しく、私には違いがわかりません。
ブランドとして日本でより深く知られているのが松阪牛、世界により知られているのが神戸牛です。
食べ比べができる詰め合わせも販売されてますので、違いが気になる方は実際に食べ比べてみてはいかがでしょうか?
- 生きた神戸牛は存在せず、生きている間は但馬牛である
- 神戸牛は但馬牛のうち、一定の基準を満たす牛肉を指す
- 松阪牛は「まつさかうし」または「まつさかぎゅう」と読む
- 松阪牛が肉牛として本格的に肥育されたのは第二次世界大戦後
- 松阪牛の品評会が毎年11月の最後の日曜日に開催される
- 神戸牛の定義には肉質に関する基準が多く、厳しい
- 松阪牛の定義には「特産松阪牛」というさらに厳しい基準も存在する
- 日本三大和牛には松阪牛と神戸牛が含まれる
- 一般的に松坂牛の方が若干高い
- 松阪牛と神戸牛の味の違いは一概には言えない
- 松阪牛は日本で、神戸牛は世界でより知られている
コメント