仙台牛タンは焼肉ではなく、定食で食べるのがその一般的なスタイルです。
では牛タン定食と言えば?
麦飯・とろろ・テールスープがついているイメージはないでしょうか?
今では当たり前になっているこの組み合わせですが、1980年代に「ねぎし」が初めて提供したスタイルです。
これらがセットで提供されるようになったのはいくつかの理由があります。
牛タン・麦飯・とろろ・テールスープがセットのなぜ:①女性ウケを狙った
以前の牛タンは、男性向けのガッツリ系とか酒のつまみというイメージでした。
このイメージを一新して女性客を取り込もうと思ったのが、あの「ねぎし」です。
麦飯や五穀米、雑穀米、炊き込みご飯など、白飯ではないご飯を女性は好む傾向にあります。
また、とろろについても同様で、男性より女性が好む傾向があります。
テールスープについても、コラーゲンとか美肌とかいうキーワードで女性人気が見込めます。
結果的にこれらの作戦が見事に功を奏して女性客がかなり増えたそうです。
牛タン・麦飯・とろろ・テールスープがセットのなぜ:②栄養的観点
麦はたんぱく質・ミネラル・ビタミン・食物繊維などを含みますが、特に食物繊維を多く含みます。
牛タン定食は一般的に付け合わせの野菜は少なく、食物繊維も不足しているため、それを補うために麦を混ぜて炊いた麦飯は栄養素的観点からは理にかなっています。
また、とろろは山芋を原料としますが、ミネラルが多く含まれていて、消化の手助けをしてくれます。
最後にテールスープですが、牛テールはコラーゲンがたっぷりで、じっくり煮込むことでスープにコラーゲンが溶け出します。
牛タンは脂質が高く、糖質は少なく、カロリーはやや高めです。
麦飯やとろろなどと食べ合わせることで栄養バランスは改善されます。
牛タンの栄養素やカロリーについて、より詳しくは「牛タンはカロリー高い?【他の部位との100g比較】」の記事を参照してください。
牛タン・麦飯・とろろ・テールスープがセットのなぜ:③戦後の食文化
第二次世界大戦後の仙台には、アメリカ軍が駐留していましたが、牛肉をたくさん消費していました。
しかし、タンやテールを食べるという文化はないため、捨てていたというのです。
それをなんとか食用に使うことができないかということを日本人が考え、牛タンとテールスープが生まれたという一説があります。
また、麦飯については戦後なかなか高級品だった白米をカサ増しするために麦を混ぜたためという説もあります。
しかし、これらの説は信憑性が低いと言えます。
まず、アメリカ人が食べなかったという点ですが、食べないのは事実にしても、日本に輸入する時点で不要な部分は廃棄されていたと思われるのが一つ目の理由です。
また、アメリカ産の牛タンが主流になったのはもう少し後の時代で、最初はオーストラリア産が主流だったというのが二つ目の理由です。
さらに麦飯については、いつから麦飯が一般的になったのかが不明なところですが、麦飯・とろろ・テールスープの組み合わせで提供したのが1980年代の「ねぎし」が最初であるという説が正しいのであれば、戦後の貧しさを理由とするのには疑問が残ります。
つまり、戦後の貧しい食文化を理由とするのはあくまでも一説であると考えたほうが良さそうです。
牛タン・麦飯・とろろ・テールスープがセットのなぜ:まとめ
牛タンと麦飯・とろろ・テールスープがセットで提供されるようになった理由や背景は諸説ありますが、まとめると以下の通りです。
・女性ウケを狙った
・栄養的観点から
・戦後の食文化
牛タン定食をご自宅で作りたい場合もわりと簡単に作れます。
麦飯は、もち麦を白米に混ぜて炊くだけです。
70gの冷凍小分け20パックの山芋は、使い勝手が良いと評判です。
仙台牛たん店で提供されるようなテールスープもあります。
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