仙台名物牛タン。
その産地を国産だと思っている人も意外と多いようです。
仙台牛も有名なので、仙台牛だと思っている人もいるようです。
しかし、その産地はほぼ外国産で、アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・ポーランド・カナダ・アイルランドなど様々な国から仕入れています。
仙台牛タンが国産でない理由①
中には国産の牛タンを提供しているお店もあります。
しかし、それは「国産」として特別扱いをした特別価格の牛タンです。
国産だけを取り扱いすると、「仙台名物」として消費される量の牛タンはまかないきれません。
400kgの牛1頭に対し、とれるタンの量はわずか1kg程度です。
しかも国産牛の場合、肉屋が1頭買いしたりするため、部位買いでタンのみ仕入れることは困難です。
1頭買いをすると、仙台では他の部位の消費量に対してタンの消費量が多いため、効率が悪いです。
そのため、外国産に頼らざるをえないというわけです。
国産だけで提供したら、とんでもなく高くなるよ
仙台牛タンが国産でない理由②
では、なぜ海外産なら安定して仕入れられるかという点ですが、アメリカをはじめ、牛タンを食べるという文化があまりない国が多いからです。
それらの国では牛肉自体の消費量は多いにもかかわらず、牛タンはあまり食べられないため、牛タンのみを安定的に仕入れすることが可能なのです。
世界全体の牛タンの約半分が日本で消費されていると言われています。
なお、日本ではスーパーなどでも焼けばすぐに食べられる状態で売られているのが普通ですが、海外ではブロックで売られているのが普通だったりします。
日本でもブロック売りが普通だったら、ここまでタンが普通に消費されていなかったかもしれません。
最近では円安の影響もあって、今後は牛タンが食べられなくなる可能性もあると言われているよ
仙台牛タンが国産でない理由③
いくら海外産が安いと言ったところで、そもそも美味しくなければここまで名物になるほど仙台で牛タンが有名になりません。
海外産、特にアメリカ産の牛タンは美味しいのです。
アメリカ産の牛肉に美味しいというイメージがない人も多いかもしれません。
実は私もその一人ですが、タンに関しては別です。
アメリカでは穀物を与えて育てるグレインフェッドと呼ばれる肥育方法が一般的です。
それに対してオーストラリアでは牧草を与えて育てるグラスフェッドです。
穀物の方が高カロリーなため、グレインフェッドの方が適度に脂肪のついた柔らかい肉質になります。
一方でグラスフェッドの方が低カロリー・高タンパクで引き締まった肉質になりますが、もともと硬い部位であるタンとしては厚切りで食べるには向いていません。
そのため、オーストラリアでも日本への輸出用にグレインフェッドで育てられている場合もあるようです。
なお、日本では「サシ」がたくさん入っているのが良い肉だという概念が高いですが、アメリカやオーストラリアでは日本より赤身が好まれます。
日本では穀物のほか、とうもろこしや稲わらなども餌に使われ、牛小屋であまり運動させずに飼育されるのが一般的なため、グレインフェッドで育った海外の牛よりも柔らかい肉質になります。
カルビやハラミなど、より柔らかさやサシを求めるなら国産牛や和牛の方が確実におすすめですが、もともと硬い部位であるタンとしては、海外産のグレインフェッドで充分に美味しいというわけです。
グラスフェッドが不味いってわけじゃなく好みだよ。でも日本人向きじゃないかな。
まとめ
理由①そもそもタンは貴重なので国産だけでは消費量をまかなえない
理由②タンを食べない国があるから安く輸入できる
理由③海外産も充分美味しい
なお、和牛と国産牛を同じ意味と思っている人も多いですが、これは全く異なります。
詳しくは「和牛と国産牛の違いとは?」の記事を参照してください。
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