仙台牛とは、6大ブランド和牛にも挙げられる銘柄牛です。
一方で仙台黒毛和牛という、似た名称の銘柄牛も存在します。
どちらも黒毛和種という品種自体は同じ、かつ宮城県内で生産されたという点は同じですが、定義は異なります。
また、仙台は牛タンが有名であることから、仙台牛タンの品種であると思われている方もいるようです。
この記事では、仙台牛と仙台黒毛和牛、またよく混同される仙台牛タンとの違いについて詳しく解説していきます。
この記事を読むと、以下のことについて理解できます。
- 仙台牛は肉質等級5、歩留等級AかBのみが名乗れる、日本で唯一の厳しい基準を持つ。
- 仙台牛は宮城県内で肥育された黒毛和種であることが必要。
- 仙台牛とは別に、似た名称の仙台黒毛和牛が存在し、定義が異なる。
- 仙台牛タンとは異なり、仙台牛は霜降りと赤身のバランス、融点の低い脂が特徴。
仙台牛 仙台黒毛和牛 違い:仙台牛について
あまり有名ではありませんが、宮城県内では畜産業がさかんです。
特に肉用牛の飼育頭数は全国でもトップクラスです。
その肉用牛の中で、品質のトップに立つのが仙台牛です。
仙台牛 歴史
仙台牛は昭和49年に兵庫県から「茂重波」号(しげしげなみごう)という種牛を導入したのが起源と言われています。
その後に茂洋号(しげひろごう)というスーパー種牛が育ち、現在ではさらにその子孫たちが種牛として活躍しています。
仙台牛は歴史としてはさほど長いわけではありませんが、良質な牛肉を産む土台は整っていました。
奥羽山脈から流れる清らかな水と、そこで栽培される「ひとめぼれ」や「ササニシキ」などの稲のわらです。
それらの稲わらは、良質なえさとして全国的に流通するほどです。
仙台牛 定義
仙台牛は肉質等級が5、歩留等級がAかBでなければ名乗ることができません。
つまり、仙台牛はA5かB5しか存在しません。
肉質等級が最高ランクの5でなければならないのは他には存在しない、日本で唯一の厳しい基準です。
その他の定義としては、「仙台牛生産登録農家が、仙台牛生産肥育体系に基づいて個体にあった適正管理を行い、宮城県内で肥育された黒毛和種であること」です。
仙台牛 特徴
仙台牛のおいしさの秘密は、霜降りと赤身の絶妙なバランスにあります。
仙台牛は、A5ランクかB5ランクという最高級の肉質しか存在しないため、特にその脂の質が際立っており、融点が低いために口の中で溶けやすいという特性を持っています。
肉のきめは細かく、柔らかさは口当たりが良く、和牛特有の甘みと旨味が強いのが特徴です。
これらの品質は、炙りや焼き肉などの調理法で最大限に引き出され、仙台牛独自の風味を楽しむことができます。
仙台牛の肉質は、脂肪の融点が他の和牛に比べて低いため、より豊かな風味が口の中で広がります。
仙台牛 仙台黒毛和牛 違い:仙台黒毛和牛について
仙台黒毛和牛 歴史
仙台黒毛和牛の歴史は、仙台牛と同じです。
もともと別々に流通したわけではなく、仙台牛の基準に満たないものが仙台黒毛和牛として流通していきました。
仙台黒毛和牛 定義
仙台牛はA5かB5しか存在しないため、その基準に満たないものが仙台黒毛和牛となります。
具体的には、A4・A3・B4・B3・C5・C4の等級が対象です。
肉質等級を5しか認めない仙台牛の定義はかなり厳しく、黒毛和牛の最高峰である神戸牛でさえA4・B4でも名乗ることができます。
つまり、仙台牛の基準が厳しすぎるため、仙台黒毛和牛でも充分品質が保証されるというわけです。
なお、飛騨牛と飛騨和牛の関係も仙台牛と仙台和牛の関係と同様ですが、3等級以上が飛騨牛として認められます。
そのため、飛騨和牛は通常2等級以下となるので、仙台和牛と飛騨和牛の質の違いは圧倒的です。
仙台黒毛和牛 特徴
仙台黒毛牛のおいしさの秘密は、仙台牛と同様に霜降りと赤身の絶妙なバランスにあります。
仙台牛と個体は同じわけですから当然ですが、きめは細かく、柔らかさは口当たりが良く、和牛特有の甘みと旨味が強いのが特徴です。
仙台牛・仙台黒毛和牛と仙台牛タンとの違い
仙台の牛タンを、仙台牛や仙台黒毛和牛であると勘違いしている人も多いようです。
仙台の牛タンは、そのほとんどが外国産であり、多くはアメリカ産です。
ここまでの定義で述べてきたように、仙台牛の定義は厳格で流通量が少ない上に、稀少部位である牛タンが名物になるほど出回るはずもありません。
仙台牛の牛タンが供されるのであれば、それはかなりの高額になることが予想されます。
一般に「仙台牛タン」というのは、仙台で食される牛タンのことを指しているのであり、仙台牛や仙台黒毛和牛といった銘柄を指す用語とは定義が異なることを認識しておきましょう。
仙台牛 定義:仙台黒毛和牛との違いとは?:まとめ
この記事のまとめです。
- 仙台牛は日本の6大ブランド和牛の一つ
- 仙台黒毛和牛という似た名称の銘柄牛も存在
- 両者は同じ黒毛和種で宮城県内で生産されるが定義が異なる
- 仙台は牛タンが有名だが仙台牛タンとは異なる
- 仙台牛の起源は昭和49年に兵庫県からの種牛導入
- 良質な牛肉を産むための土台が整っていた
- 仙台牛は肉質等級5、歩留等級AかBの基準がある
- この基準は日本で唯一の厳しいもの
- 仙台牛の特徴は霜降りと赤身のバランス、融点の低い脂
- 肉のきめは細かく、和牛特有の甘みと旨味が強い
- 仙台黒毛和牛は仙台牛の基準に満たない牛
- 仙台の牛タンの多くは外国産
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